モバイル空間統計で見る熊本地震と人流への影響:熊本城周辺・博多駅周辺・鹿児島中央駅周辺の滞在人口変化
2026年10月20日
本記事では、モバイル空間統計を用いて、熊本地震の発災前後の九州各エリアにおける滞在人口の変化を定量的に分析しました。
被災地である「熊本城周辺」と、「博多駅周辺」「鹿児島中央駅周辺」のデータ比較から、災害残後における人流の変動を分析します。
▼分析の概要とデータ条件
・分析対象期間:発災前後の土曜 14:00台(7月25日、8月1日、8月8日、10月10日)
・対象エリア:熊本城周辺、博多駅周辺、鹿児島中央駅周辺(各500mメッシュ合算)
・分析指標:滞在人口総数、居住地別(都道府県別)人口
①熊本地震前後人流分析_熊本城周辺
発災前の7月25日(27,223人)から、発災直後の8月1日には18,477人と約32%減少しました。
その後、交通インフラ等の復旧や活動再開に伴い人でが回復し、8月8日には26,023人(発災前の約96%)まで戻り、10月10日には28,854人と発災前を約6%上回る水準まで増加しています。

また、居住地別の滞在人口を分析すると、発災直後(8月1日)は広範囲からの流入が一時的に激減しました。
特に県外からの流入減少が著しく、福岡県は約53%減、東京都は約64%減と半減以下まで落ち込みました。
その後は急速に回復し、10月10日時点では熊本県内(25,569人)が発災前の水準まで戻ったほか、福岡県(1,504人)や鹿児島県(407人)など近隣県を中心に発災前(7月25日)を上回る規模まで回復しています。

②熊本地震前後人流分析_博多駅周辺
発災前の7月25日(57,525人)に対し、発災直後の8月1日は56,023人と約2.6%の微減にとどまりました。
その後、8月8日には61,037人(発災前比約6.1%増)と発災前の水準を一時的に上回り、10月10日時点(55,707人、発災前比約3.2%減)でも大きく崩れることなく、全体として大きな変動や落ち込みが見られない安定した推移を示しています。

居住地別の滞在状況をみると、発災直後は県外・遠方からの人流には一部変動が見られ、熊本県は発災直後に約23%減、鹿児島県は約59%減と一時的に落ち込みました。 しかし、8月8日以降は熊本県(1,155人→1,265人)や鹿児島県(358人→702人)ともに回復傾向を示したほか、東京都や愛知県など遠方からの人流も一時的に大きく伸長し、10月10日時点では全体として発災前の水準へと落ち着いています。

③熊本地震前後人流分析_鹿児島中央駅周辺
発災前の7月25日(24,146人)に対し、発災直後の8月1日は23,196人と約3.9%の微減にとどまりました。
その後、8月8日には24,507人と元の水準へ回復し、10月10日時点(24,372人、発災前比約0.9%増)でもほぼ横ばいで推移しており、震災による人流への影響は軽微であったと考えられ、安定した推移を示しています。

居住地別の滞在状況をみると、地元である鹿児島県内からの人流(22,000人〜23,000人規模)が全体の大部分を占めており、発災後も大きな変動なく安定して推移しました。一方、福岡県からの流入は約72%減、熊本県からの流入は約61%減と発災直後(8月1日)に大きく減少しました。
その後は各地域からの流入は回復傾向を示し、10月10日時点では福岡県(423人)や宮崎県(276人)、東京都(188人)など、多くの地域で発災前の水準を上回る規模まで回復しています。

本分析では、熊本地震の発災前後における主要エリアの人流変化を検証しました。 被災地である熊本城周辺では、発災直後(8/1)に広域からの流入激減(福岡約53%減、東京約64%減等)が主因となり、滞在人口が約2.7万人から約1.8万人へと32.1%急減しました。しかし、インフラの復旧とともに回復し、8/8には発災前の約96%へ復元、10/10時点では28,854人と発災前を6.0%上回る回復を達成しています。 一方、博多駅や鹿児島中央駅といった都市では、県内人口の滞在が安定していたため、県外からの流入減の影響は限定的であり、全体の減少率は2〜4%の微減にとどまる結果を示しました。
モバイル空間統計は、災害発生時における突発的な都市機能停止や人流の変化、さらに「どのような人々が滞留しているか」という属性までをリアルタイムに捉えることが可能です。当社では今後も、行政機関や交通事業者、施設運営者の皆様の防災計画や安全な街づくりに向けたデータ活用を強力に支援してまいります。

