大阪でのサミット開催、地域への影響は?

分析事例   

2019年10月24日

2019年6月28日・29日の2日間、大阪市内において、大変大きな出来事がありました。そう、大阪サミットです。

この2日間、会場を中心に交通規制や一部学校の休校措置がなされるなど、円滑な運営と安全性の確保のため、様々な規制・警備が行われました。

都市部でのサミット開催ということで、開催期間中は会場を中心に市民生活にも大きな影響が生じたと考えられます。

今回、モバイル空間統計を利用し、サミット開催期間中と平常時の人口動向を比較調査いたしました。なお調査は、2019年6月21日・22日・28日・29日の大阪市内の人口を対象に、性別年代別に集計を行いました。

その結果、期間中大阪市内の人口が一時的に減少していることがわかりましたので紹介します。

G20.jpg




期間中、大阪市内の人口は一時的に減少

こちらのグラフ①は、サミット開催日である6月28日金曜日・29日土曜日と前週同じ曜日において、大阪市内の人口をまとめたものです。なお、数値は特に変化の大きかった14時台に絞って分析しています。

グラフ①開催期間中とその前週の大阪市内人口.jpg

この結果から、期間中、大阪市内の人口は前週に比較して減少していることがわかります。

28日の人口は前週比で約18万人、29日は約19万人減少しました。これは、前週の人口の約6~7%に当たります。




特に労働世代の人口が減少

次に、年齢別の人口変化を見てみます。

グラフ②は、特に変化の大きかった土曜日に絞り、年代別にどの程度人口が減少したのかをグラフにしたものです。

グラフ②年代別人口変化割合(土曜日).jpg

期間中、前週との差が特に大きく見られたのは、40歳代の人口で、前週人口の約8.5%に当たる約4.5万人も減少していました。

逆に60歳代以上の変化は少なく、特に労働世代において人口減少が顕著であったことが分かります。

男女差は大きく、女性が優位に減少

年代に加え、性別によっても人口変化割合に差が見られました。

期間中、男性人口は7~8万人の減少だったのに対し、女性人口は10~11万人減少していました。

次のグラフ③は期間中と前週の人口の変化割合を年齢・性別毎に比較したものです。同様に土曜日に絞って抽出しています。

グラフ③年代・性別毎の人口変化割合(土曜日)retake.jpg土曜日に絞った場合、全年齢・性別において、最も変化が大きかったのは40歳代女性で、前週の約10%減。逆に最も少なかったのは70歳代女性で、前週の約4%減でした。

まとめ

今回、モバイル空間分析を用いて、大阪サミット開催期間中と平常時の大阪市内の人口動向を比較した結果、次のことがわかりました。

・サミット開催期間中、大阪市内の人口は一時的に減少した。

サミット開催期間中、前週に比べ、大阪市内の人口は金曜日の14時台で約18万人、土曜日の14時台で約19万人も減少したことがわかりました。これは、前週人口の約6~7%にあたります。

これは、期間中の交通規制や警備の強化によるものに加え、市内の混雑を予測し、期間中の市内滞在を避けた動きが見られたものと考えられます。

・年齢別に分析すると、労働者世代、特に40歳代の人口減少率が最も高かった

・男女別に分析すると、女性の人口減少率が特に高かった

年齢別に見ると、40歳代における人口変化が最も多く、逆に60歳代以上の人口変化は限られるという傾向を見て取ることができました。

加えて、男女間で比較した場合、特に女性の変化割合が大きい傾向も見られました。

他の多くの統計においても、労働年代・女性はそれ以外の層に比べ情報感度が高い人が多いというデータもあります。

このような大規模イベントが開催される際には、情報感度の高い層において特に人口変化が大きくなるということができるでしょう。

今回の分析から、都市部において大きな政治的イベントがある場合、開催期間中、開催地近郊の居住者や勤務者等の活動に大きな影響を与え、一時的に大きな人口変化が生じることがわかりました。

今回のような大きな人口変化が起きれば、その地域の経済的活動や生活に対する影響は大きくなります。

そのため、今後大きなイベントの開催により大きな人口変化が予想される際には、その変化の大きさを事前に予見しておくことが大変有用です。

モバイル空間統計を使えば、過去のイベント時の人口変化についても詳細に分析・把握することが可能です。

そして、人口変化及び付随するあらゆる影響の大きさの予見・適切な対処につなげることができ、ビジネスへの影響を最小限にすることができます。